放水燈:各廟屬氏子公普,舉行の前夜に於て,鬼歡迎の為幾數萬場の燈籠お作り,提燈行列をなし,江邊に至り水流に臨んて其燈籠を放つ,之を放水燈と稱す。舉行に付爐主の下に大柱と稱へ三名乃至六七名の頭家,並に主會、主照、主壇、主普、主事、天官首、水官首、地官首等役員を置き,爐主之を指揮し,各其の職責を全うす。提燈行列に當り此等役員は各自職名を記したる燈、或普照陰光と大書したる燈を捧げて徐行す。此等役員の燈を稱して水燈頭と云ふ。其他附屬として大竹桿を以て木の葉形に一丈乃至三丈餘の方架を作り,紙又は玻璃にて張りたる燈を幾十百架每に吊るし,壯丁之を擔ふ。此等の燈は數街、數庄、結合し又は同姓を募り或は同業者を一團とし資を醵して作りしもの多し。其他各自に山水、花鳥を書きたる燈,又は魚鳥形の紗燈を頭上に戴き,或は彩燈を捧げ,各團體をなして聯步す。各團體の兩惻は幾千百の壯丁各炬火捧げて相伴ふ。其火は幾百萬の燈火と相映じ燄燄天を焦がし,各團體每に伴ふ樂隊は清亮たる太平の譜奏し,鑼鼓の響耳を聾す,觀者堵の如く頗る熱鬧を極む。但し行列後,燈を水に放つ,之れ行列者の所持する總ての燈を放つに非らずして爐主以下各役員の捧げたる、水燈頭のみ和尚隨行して之を放つものなり (即古の流火の所謂なり)

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